血液クレンジングという言葉を、私はこう扱っている|治療を行う医師としての立場を、最初に明確にしておく
はじめに:私の立場を、最初に宣言します。
私は、世間で「血液クレンジング」と呼ばれている治療を、臨床医として実際に行っています。
ただし同時に、この言葉が医学的に不正確であり、誤解・過剰期待・風評被害を生みやすいことも理解しています。
そのため私は、この言葉を無批判に使うことはしません。
しかし、現実的な理由から、完全に避けることもしません。
この曖昧さこそが問題を生んできました。
だからこそ本記事では、「なぜ使うのか」「どう使うのか」「どこから線を引くのか」を、最初に明確にします。

なぜ私は「血液クレンジング」という言葉を便宜上使うのか
結論から言えば、患者がその言葉で世界を認識しているからです。
- 検索される言葉
- SNSで流通している言葉
- 相談時に持ち込まれる言葉
そのほとんどが「血液クレンジング」です。
本来の正式名称は
大量自家血オゾン療法(Major Autohemotherapy:MAH)ですが、この名称から入って理解できる患者は多くありません。
- 入口では患者の言語を使う
- ただし、そのまま通過させない
私は、この立場を取ります。
これは迎合ではなく、医師側が主導権を握るための戦略的選択です。
学会が「血液クレンジング」という名称を禁じた本当の理由
日本国内では、2019年前後の炎上を受けて、日本酸化療法医学会が明確な見解を示しました。
要点はシンプルです。
- 「血液クレンジング」は学術用語ではない
- 血液を洗う・浄化するという誤解を与える
- 誇大広告と結びつきやすい
治療そのものが否定されたわけではありません。
否定されたのは、
- 言葉
- 説明の仕方
- 医療倫理の欠如
私が「やってはいけない血液クレンジング」を明確に線引きする理由
ここからが、施術者としての責任表明です。
私は、以下の説明・実践を一切行いません。
- 「血管の掃除をする治療です」
- 「血がドロドロからサラサラになります」
- 「デトックスで不調が全部抜けます」
- 「誰にでも効きます」
- 体験談や感想だけで治療を正当化すること
これらは医学ではなく、物語です。
現代医学において、血液を洗浄・浄化する治療は透析などの特殊な状況を除いて存在しません。
この線を引かずに行う治療は、医療ではなく商業行為だと私は考えています。
それでも私がこの治療を行う理由は、ただ一つです
それでも私がこの治療を行う理由は、一つしかありません。
自律神経・炎症・回復力が破綻している人に対し、外側から生理学的な再入力をかけられる数少ない医療介入だからです。
大量自家血オゾン療法(MAH)で起きているのは、
- 血液の浄化ではない
- 老廃物の除去でもない
一過性の酸化刺激を信号として使い、
- 抗酸化応答(Nrf2/ARE経路)
- 炎症性サイトカインバランス
- 赤血球代謝・酸素解離能
といった生体側の調整機構を再起動させることです。
これは、ホルミシス(適度な刺激が防御力を高める生理現象)に基づいた介入であり、運動や寒冷刺激と同じ生理学的カテゴリーに属します。
詳細な分子機序・臨床エビデンスについては、以下の整理資料を基礎にしています。
ニューロアンチエイジングの視点から見た正確な位置づけ
私の専門は、自律神経(ANS)・HRV・脳・炎症・老化の連関です。
その視点で見ると、この治療は美容医療の延長でも、メンタル医療の代替でもなく
ストレス生理で歪んだ調整系に介入する医療としてのみ意味を持ちます。
万能でもなければ、誰にでも必要な治療でもありません。
適応・非適応を見極めずに行うこと自体が誤りです。
結論:問題は治療ではなく、言葉と姿勢だった
「血液クレンジング」が混乱を生んだ理由は、治療そのものよりも、
- 言葉を雑に使ったこと
- 機序を説明しなかったこと
- 医師が主導権を放棄したこと
この3点にあります。
だから私は、この言葉を入口としてのみ使い、中身は必ず医学の言葉に引き戻します。
それが、治療を行う医師としての責任だと考えています。


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